太陽石油株式会社 様

【enechain×太陽石油トップ対談】 持続可能な社会におけるエネルギーの未来とは  

エネルギー業界の中で独自のポジションを築く太陽石油。その経営の根幹には「地方創生」と「持続可能エネルギーの循環」というテーマが据えられていた。本対談ではenechain 野澤と、太陽石油 山本社長のトップ2名が、エネルギーの未来や脱炭素経営における課題への取り組みについて語り合う。

太陽石油株式会社 代表取締役社長 山本 堯大 様(写真左)
2009年(平成21年)京都大学総合人間学部卒、住友商事入社。22年太陽石油入社、取締役。23年4月取締役常務執行役員、同年10月代表取締役専務執行役員、24年4月代表取締役社長。

野澤:
同世代かつエネルギーに関わる経営者ということで、会合等でお会いする機会は多いですね。先日もシンガポールで偶然再会しました。

山本:
あれには驚きました。同じビルの同じフロア、そしてガラス越しに隣の会議室で別の打ち合わせをしており、商談後に合流しましたね。

野澤:
山本さんはAPPEC 2024で登壇もするなど、その活躍にいつも刺激をいただいています。本日は、エネルギーに関わる経営者同士の視点で議論しましょう。まずは、太陽石油さんの事業について、教えてください。

非上場の石油元売りならではの強みを活かす

山本:
太陽石油は、原油の調達から精製及び自社ブランドでの販売まで行う石油元売会社の一つで、製油所を持つ愛媛県を地盤として、主に西日本(特に、四国・九州・中国・近畿地方)に事業展開しており、SOLATO(ソラト)というブランド名でガソリンスタンドを展開しています。4社ある石油元売りの中でも民族系で非上場ゆえに大手上場企業とは少し違った経営の自由度があることも大きな特徴です。

燃料油の他にも生活するうえで無くてはならないプラスチックや合成ゴム、合成繊維などの原料となる”石油化学製品”(ベンゼン、キシレンなど)の製造販売にも力を入れてきた歴史がありますが、昨今ではバイオマス由来の原料から製造される持続可能な航空燃料(SAF)事業もプロジェクトを立ち上げ検討を開始しており、カーボンニュートラル社会の実現に向けて様々な新規事業の開拓にも積極的に取り組んでいます。

野澤:
太陽石油さんは「持続的に成長する企業」を経営理念に掲げ推進されていますね。2024年に社長に就任されましたが、どんな経営を目指していくのでしょうか。

山本:
太陽石油は非上場企業であることからも、柔軟な判断ができることをわが社の強みの一つとし、明確な経済性を示すことが困難な場合であっても、長期的な目線かつ社会に求められる課題に対しては、信念を持って一歩踏み込んだ経営判断ができる企業であると自負しています。

野澤:
利益追求だけでなく、社会に必要とされる事業に注力することの重要さとのバランスが取れる点が強み、ということですね。

山本:
ええ、青臭い表現かもしれませんが、自分なりのシンプルな価値判断基準は「かっこいいか」「かっこよくないか」であり、この「かっこいい」を言い換えると当社が社会を形成する皆様から支持されることを指します。当社が社会に求められる存在であり続ける限りは、適正な対価が与えられ我々の事業が継続できると考えています。

野澤:
ご自身が考える、最もかっこいいと思う事業とは?

山本:
例えば現状は各地に対して我々が石油製品を販売する一方向のお金の流れですが、地方から木質資源や廃タイヤ・廃プラスチック由来の分解油を購入し当社の製油所で処理しそれをまた製品として供給することで、双方向にお金の流れを生み地方創生に寄与していく事業を積極的に検討しています。地中に眠っている化石燃料を掘り起こし利用するよりも、既に地表にある原料を活用する方が多少なりともGXの観点で有効ではと考えています。但し、GXや気候変動の課題解決を主目的としている取り組みではなく、日本の社会課題である地方創生に重きを置いた思考回路を大事にしています。

野澤:
新規事業も積極的に展開されています。

山本:
単純にポートフォリオ分散のためだけではなく、今後の石油市場は人口減少に伴いガソリンやディーゼルの需要が減っていく未来は避けられない想定です。一方で、航空燃料だけは伸びていく予想が示されています。連産品である石油製品は、ガソリンやディーゼルの生産を抑え、航空燃料となる灯油留分のみ増産することは難しく、そうした精製ポートフォリオを変える意味に加えGXの文脈でも、新たにSAF事業を取り組んでいく意義はあると考えています。

野澤:
私たちenechainの運営する、カーボンクレジットや非化石証書をオンライン上で取引できるプラットフォームJCEXもそうですが、既存のビジネスプロセスを改善して持続可能性を高めるだけでなく、新たな選択肢を増やして、状況に応じて対応をチョイスできる柔軟性が、サステナブルな経営には必須になっていきます。

山本:
ここでも重要になるのは、地方創生と、持続可能エネルギーの循環モデルの構築です。近年問題となっているのが、地方でのエネルギー供給インフラの維持です。経済もエネルギー供給も一極集中化の進む日本では、経済合理性や効率化を重視するあまり、インフラがエリアから撤退し始めていることは避けることが出来ない状況かもしれません。しかし、そこに住んでいる方の人数に関わらず、最後の一人までエネルギー供給は必要です。我々の事業ではこれを支える最後の砦である地場のガソリンスタンドを運営する特約店が事業継続できるよう、中長期視点で共存するエネルギー安全保障の課題解決にも繋がるエネルギーの循環モデルを構築していくことに挑戦しています。

野澤:
アメリカでは、東京のような一極集中した都市圏というものは存在せず、一種の非効率を補う形で経済が成長し、エリアごとにエネルギーや経済がサステナブルに循環しています。日本であってもそのような時代が近づいてきているのかもしれません。

2050年を、自分も存在している未来として捉えられるか?

野澤:
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、つまりカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。石油の元売業界でもCO₂排出量削減ニーズが高まるなかで、これまで通りの国内需要を維持することが難しくなっています。山本さんはこの事象をどう捉えていますか。

山本:
この2050年をどう捉えるかが重要だと考えています。私は現在40歳代に入ったばかりなので、2050年は私も存在している世界だと捉えるようにしています。

野澤:
2050年を、次世代に残すための理想の世界として捉えるのか、それとも自分も実際に生きている現実の世界として捉えるのか、ですね。

山本:
そう、この2050年をどのくらいリアルにイメージできるかがポイントで、安心安全に生活できている世界を志向した際、気候変動問題は当然重く存在していると同時に、エネルギーの安定供給についてもバランスよく考える必要があります。

野澤:
私たちエネルギー事業者は、環境配慮をしながら、いかにエネルギーのインフラを維持し続けるかについてケアしていかねばなりません。

山本:
例えば、飲料の容器として、ペットボトルとアルミ缶とで環境に対するインパクトを考える問いがあります。気候変動を論点とした時と、生物多様性を論点にした時では、環境への影響の捉え方が異なる考え方もあることを最近知りました。二酸化炭素の排出量ではペットボトルの環境負荷が大きくとも、熱帯雨林を切り開き採掘するボーキサイトを原料としたアルミ缶の方が、生物に与える環境負荷は大きい可能性があるという研究があるという考え方でした。

二酸化炭素の排出量を中心とした気候変動の論点に世の中の全てが偏って既存のインフラを処分してしまった場合、もう片方の生物多様性の観点から環境に対する論点の揺り戻しがあった時に取り返しのつかない事態に陥っている場合があります。

野澤:
電力の観点でも、サプライアビリティの考え方は重要です。日本は地理的な理由から、他国からの電力供給に頼ることができない構造にあり、いかに自国で電力の「供給量」と「供給網」を維持し続けるかが課題になっています。

山本:
いわば血液となるエネルギーとその流通を支えるインフラとしての血管のセットですね。どちらかが欠けても成立しない。自動車産業では欧米のトレンドを踏まえてEV車へのシフトが進んでいますが、日本ではEVステーションの整備も含めて電力供給を自国のみで完結させなければならない難しさがあります。俯瞰して物事を捉える意味でも、前提となる知識の装着が重要になっていくわけです。

これからの社交に必須。GX知識を補う、gCampの安心感

野澤:
知識の話が出ましたが、環境配慮をしながらの経営を進める上で、脱炭素経営・GXに関する知識についてはどの程度重要でしょうか。

山本:
一言で言うと、社会の偏った潮流に流されなくなるという点で非常に重要です。
経営者としても本質的に何が必要なのか、自ら判断できるようになる軸を持っておくためにも、知識の装着は必須です。

野澤:
最近は経営者同士の社交においても、環境配慮のリテラシーが求められますね。

山本:
例えば会合に参加した時など、ビジネスをするうえで最低限持っておくべき知識として必要な場面はあり、知識を持たずにその場に入ることで論点を読み違えることなどは想像されます。

一方で、その知識を使いこなす知恵も必要です。まさに脱炭素というのは、さまざまな知識を身につけた上でそれをどう経営に活かしているのか、経営者の知恵が浮き彫りにされるテーマでもあります。

日本最大のエネルギー取引所を運営するenechainさんが提供されているコンテンツgCampは、この知識を補ってくれている安心を感じました。

野澤:
太陽石油さんでは、カーボンニュートラル推進グループをはじめとした社員の皆さんにgCampを受講いただきました。このgCampは、脱炭素経営・GXを体系的に学習できるe-learningコンテンツで、気候変動問題の背景から国内外の政策動向や企業の取り組み事例など、専門的な内容まで網羅的にカバーしています。

山本:
まず動画コンテンツで倍速再生調整できる点が良いですね。特に2倍速(笑)。見返す際にとても便利です。そしてenechainさんから限定共有される、最前線の審議会レポートなどは重宝しています。

元々脱炭素に知見のある部門が受講したということもあって基礎知識としてはすでにある程度ベースを築いていたのですが、最新の業界情報を常に追い続けることは難しかった。

そういったある意味不安部分を取り除いてくれるという意味で、網羅的に色々な情報をまとめてレポートしてもらえるのは非常に大きな価値だと感じています。

脱炭素の知識を身に着けた上で、どう生かしていくかが大切。知恵を使う業務の中で、知識の欠如を補ってくれる存在がgCampだと捉えています。

これに加えて、脱炭素に取り組む部署へと人事異動があるたび、基礎知識から教育しなければいけない中で、その導入教材として使わせてもらってもいます。社内での共通言語を構築するうえでもこの教材が活用できるとの声を聞いており、早期の理解浸透という意味でも効果的ですね。

目指すのはグリーンバリューチェーンの構築

野澤:
今後も太陽石油さんの活躍が楽しみです。

山本:
地域創生と持続可能エネルギーの循環という2つの問いに向き合っていくためにも、上述のリサイクルエネルギーに加え、再エネに活用できる資源開発やそれらを効果的に利用する蓄電池の原料事業にも視野を広げ検討しています。地方のエネルギーインフラを整備していくような循環モデル、いわゆるグリーンバリューチェーンの構築も事業構想には組み込んでいきたいと考えています。

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、単にカーボンニュートラルなどの持続可能な社会の実現を目指すことを目的とするのではなく、そうした技術や事業を以て日本の産業競争力を高めるという本質を意識し続けたいと考えています。

企業

太陽石油株式会社 様

規模

501名〜1,000名

業種

石油・ガス・エネルギー

サービス

gCamp

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